【完】溺愛体質の彼は私に好きと言わせてくれない

『恋がしたい!好きな男の子と一緒に沢山遊びたい』






『好きな子いるの?』







『今はいない。だから絶対元気になるんだ!』







その恋に憧れる依乃里の満面の笑みは昴の胸をトクンと鳴らした。






『依乃里。あら?あなた確か、一ノ瀬さん家の昴くんよね?』







『ママ!』





依乃里の母が担当医師からの説明から帰ってきた。あとから父も病室で合流する。






『おーい。さっき一ノ瀬くんがいて、昴くんを…おっ!いたいた。昴くん、お父さんが探してたぞ』





ベッドから降りて駆け足で自身の父親の方へ向かう昴の姿はさっきまでの大人な雰囲気ではなく、まだ幼い子供。





すぐに昴の父がやってきてすぐさま肩車をねだり父に甘える。





普段は仕事が忙しく、家にいない父親に会えた昴は喜びに満ち溢れていた。




『パパ!』




『依乃里、元気にしてたか?』




『うん!!あのね、お兄ちゃんが面白いお話をしてくれてね』




『そうかそうか。ありがとう昴くん』




依乃里の父がお礼を言うと、昴は照れくさそうに笑った。