【完】溺愛体質の彼は私に好きと言わせてくれない

「話聞いていて嫌な気持ちになったら手を振り払ってもいいから、このままで聞いてくれるかな?」




聞くのが怖くなっていて目を合わせられない依乃里はギュッと握られた手に力を込めてコクンと静かに頷く。




「あの時、依乃里と八雲くんが話している最中に身体の調子を悪くしたおばあさんがいて、その人を受付まで案内してたんだ。その人はお孫さんの付き添いで来てたんだけど、お孫さんとはぐれてパニックになってしまったらしくて、俺はその人とお孫さんが来るまで待っていたんだ」





それは依乃里が考えていた残酷なものではなく、ただ親切にしたという話。





依乃里は残酷なことを考えていた自分が恥ずかしくなった。もっと彼を信じてあげるべきだったと。






「それなら早く言ってくれれば...」






納得出来る理由であったし。





昴さんは何も悪くないのに。勘違いであの後話すのが難しくなったんだから…。








「もちろん早く言おうとした。けどその後、八雲くんに『女の子を大事に出来ない男は依乃里を任せることが出来ない』って言われただろ?あの言葉で俺はキミにとんでもないことをしたって思って…本音を言っても信じてもらえるか不安になったんだ」