【完】溺愛体質の彼は私に好きと言わせてくれない

会話を聞いて笑っている依乃里に気づいた佐恵香が近づいてきた。





「榛名さん榛名さん」







「え、あ、はい」





あ、笑っちゃったから気を悪くさせちゃったかな?そうだったらすぐに謝らないと。





「榛名さんはクリスマス彼氏と過ごす?それともクリぼっち?」





く、クリぼっち??





「佐恵香唐突すぎ。榛名さん困ってるでしょ」






「あ、ごめんね榛名さん」




クリぼっちってそういうことか。





「大丈夫。クリスマスは一人、かな」






わぁ、初めてクラスの子から話しかけられた。上手く話さないと。






依乃里は入院生活が長くて人と会話するのはちょっと苦手。そのためあまり友達もいない。






「一人なんだ。榛名さん美人だから彼氏くらいいると思ってた」






「そんな私なんて美人と呼ばれるほどじゃ...」





全然告白もされないし。されても私は昴先輩一筋だからお断りするんだけどね。





「佐恵香はちょっとバカだけど人を見る目だけはあるから自信もっていいと思うよ。あたしも榛名さん美人だっていつも思ってたし」





真帆の言葉で依乃里は少し自信を持つことができた。




今まで見た目のことは誰にも言われたことがなったが、今回はっきり言われて嬉しい気持ちにもなった依乃里の緊張はすっかりとけていた。