・LOVER—いつもあなたの腕の中—

「あ……の」

「俺がチェックしている間、何を考えていたか言ってみろ」


 どうやら独り言を口に出してしまっていたらしく。即座に副社長から突っ込まれてしまった私は、もう誤魔化すことが出来ない状況に追い込まれてしまった。


 どうせ笑い飛ばされるに決まっているだろうし、こうなったら素直に言うしかないか。


「えっとですね……」


 独断と偏見だが、二人が似ている気がしたことを話してみる。明らかにおかしなことを口にしていることは重々承知の上だけれど。
 そんな私の話に黙って耳を傾けてくれていた副社長から意外な返事が返ってきたのだ。


「そりゃ似ている所もあるだろ、アイツとは兄弟なんだし」


 あぁ、そうだったんだぁ。なるほど、兄弟なら色々と似ている所があってもおかしくないよね。うん、むしろそれなら納得できる。
 ……って、できるか!


「はぁ? 兄弟ってなんですか? 聞いてないんですけど!」


 というか、どういうこと⁈ 本当に二人は兄弟なの? それとも、私は副社長にからかわれているだけなのかな。


 予想外の答え過ぎて、信じられない。その場に立っているのがやっとの私を前に「誰にも言ったこと無いからな。それにしても、よく気づいたな」と副社長はサラリと言った。