・LOVER—いつもあなたの腕の中—

「補足する個所でもあるのか?」

「いえ、ありません……けど」

「けど、なんだ?」


 言えるわけがない。「副社長の綺麗な横顔に見とれてました」なんて口にしたら、悪趣味だと思われてしまうだろう。


 どうしよう、適当な話題が見つからない。
相手が副社長だと思うと、余計に何を話題にしたらいいのか見当もつかないよ。


「西田リュウに同行して、早速撮影に立ち会うことが嫌になったか?」

「それはありません」

「……即答かよ」


 フッと口元が緩み、含み笑いをした副社長に対し。なにか誤解されたと直感した私は、慌てて訂正した。


「西田さんは最初に会った時から変わらずに、いつも親し気に接してくれるので話し易いですし。正直、仕事面での心配はありません」

「惚れるなよ」


 何気なく発せられた副社長からのひとことは、かなりの的を得ていてドキッとしてしまう。
 もはや完全に釘を刺された状態だけれど、本当はもう手遅れかもしれないことは私が一番よく分かっている。


「向こうはあくまでも仕事相手だ。こちらのことも、契約を交わした仕事相手として見ているのだから。次の仕事につなげることも考えて君に対しても多少は愛想よくしているのだろう。それを真に受けたりするなと忠告しているんだ」