「あぁっ! ちょっと、どうしてくれるのよ⁈ これじゃあ使えないじゃない」
「俺のせい? ぶつかって来たのはそっちだろ」
少し前まで見とれてしまっていたはずの相手を前に、怒りがこみあげてきてしまう。私もよそ見しながら歩いていたかもしれないけど、突然目の前に現れたら避けきれるわけがない。
それに、この人だって避けようと思えば避けられたんじゃないの⁈ どうして私だけが百パー悪いみたいに言われなきゃいけないのよ。
文句を言おうと口を開きかけたが「そもそも電話しながら歩いて、他のことをしている方がいけないだろ」と正当な攻撃をくらってしまい返答できなくなり。怒りの矛先を失くし、口を噤むしか術がない状態に陥ってしまった。
周りに散らばったペットボトルやポーチを拾い、バッグにしまってくれている男性の姿を目で追いながら、スマホを握りしめ落ち込む。
この人が悪いわけじゃないことは分かっているし、言われたことも正しい。全て自分のしでかしたことでスマホが壊れたわけだし。
手帳とペンを重ね、空いている手にポンと乗せてきた男性から「ぶちまけたものは、これで全部?」と確認されたけれど、口を開く気にもなれなくて黙ったまま無言で頷く。
「はい、じゃあ立とっか?」
「自分で立てます」
「俺のせい? ぶつかって来たのはそっちだろ」
少し前まで見とれてしまっていたはずの相手を前に、怒りがこみあげてきてしまう。私もよそ見しながら歩いていたかもしれないけど、突然目の前に現れたら避けきれるわけがない。
それに、この人だって避けようと思えば避けられたんじゃないの⁈ どうして私だけが百パー悪いみたいに言われなきゃいけないのよ。
文句を言おうと口を開きかけたが「そもそも電話しながら歩いて、他のことをしている方がいけないだろ」と正当な攻撃をくらってしまい返答できなくなり。怒りの矛先を失くし、口を噤むしか術がない状態に陥ってしまった。
周りに散らばったペットボトルやポーチを拾い、バッグにしまってくれている男性の姿を目で追いながら、スマホを握りしめ落ち込む。
この人が悪いわけじゃないことは分かっているし、言われたことも正しい。全て自分のしでかしたことでスマホが壊れたわけだし。
手帳とペンを重ね、空いている手にポンと乗せてきた男性から「ぶちまけたものは、これで全部?」と確認されたけれど、口を開く気にもなれなくて黙ったまま無言で頷く。
「はい、じゃあ立とっか?」
「自分で立てます」



