・LOVER—いつもあなたの腕の中—

 言いかけた私の言葉を遮り「大切な社員の身体を使ってまで仕事をしようなんて思わない。そんなことを考えている相手とも、仕事などしたくない」と副社長は静かに語った。


 ハッキリと口にしてくれた副社長が、やはりリュウと重なって見えてしまう。
 こういう時。双子というのは実に厄介だ。
 副社長が何を言っても、私にはリュウにしか見えないなんて。

 髪型だって違うし眼鏡もかけているし、着ている服装だって全然違うのに。


「やっぱり副社長とリュウって似てますね。声も似てるし、同じ姿をしていたら間違えちゃいそうです」

「一緒にするな」


 困った様に苦笑いする副社長の口元が少し緩み笑みが零れ。その顔を見た瞬間、私は思い出し副社長に訊ねた。


「そういえば、さっき私を名前で呼びましたよね? リュウに呼ばれたような気がして、ビックリしちゃいました」

「あー。それはアイツが俺の前で君のことを話すから。聞いているうちに、うつってしまっただけだ」


「深い意味など無い」とハッキリ口にされ、なんとなく気まずくなり「ですよねー」なんて、笑ってごまかしてみる。
 そんな私の気まずさに気付いてくれたのか、その後の副社長は何もなかった様に私を連れ廊下を歩き玄関へと向かった。