・LOVER—いつもあなたの腕の中—

「若いというのは、それだけで罪だねぇ」

「‼」


 私に熱燗を飲ませた社長の手がスカートの上から太腿を擦ってきたため。その行動があまりに突然過ぎて声も上げられず。周囲に気付かれないように手で払いのけるも、止めることなく再び太腿に乗せられる手はあまりにしつこくて。

 次第に「これも仕事のうち。黙って耐えるしかないのか」とギュッと目を閉じ耐えようとした時だった。


「真島、もう酔ったのか?」


 耳慣れた声が私を助けてくれたため。思わず声の聞こえた方を見上げ「リュウ」と口走ってしまった私の目には、副社長がリュウに見えてしまっていたのだ。

 涙で潤んでしまっていた瞳だから、副社長の姿がぼやけリュウの姿と重なって見えたのか。リュウに助けてほしいと願っていたから、副社長がリュウに見えてしまったのかは分からない。


 席から立ち上がった副社長は私の座る向かいの席まで歩いて来ると、躊躇い無く私の右手首を取った。


「申し訳ありません今夜は失礼します」

「吉野副社長、もうお帰りですか?」


 次々に声をかけられたけれど、副社長は振り返ることなく「優羽、帰るぞ」と二人分のコートを手にし、私を連れて座敷を後にした。