・LOVER—いつもあなたの腕の中—

 画面にヒビが入った状態のスマホを目の高さまで上げ「これこれ」と指をさす。そんな私の仕草を見た男性は、納得したように「あぁ」と小さく口にすると続けざまに言ったのだ。


「でもその状態じゃ使い物にならないんだろ? たっだら買い替えるしかないじゃん」

「そうなんだけど。でもね……」


 あなたは口で言うだけだから財布の中も痛まないし、気楽に思っているのかもしれないけど。こっちはそう簡単に買い替えるなんてできないんだってば。来月から二台分の引き落としとか、考えただけでも気が遠くなるし、この先の生活は暫く地獄でしかないんですけど!


「当然だろ」とでも言いたそうにシレッとしている顔つきの男性に向かい、口をパクパクしている私のことを不信に感じたのか。手続きを進めていた店員に「まだデータ移行はしていないので、キャンセルも出来ますけど……」と再度手続きの確認をされてしまった。


「今回はやめておきます」とお願いしようと店員を見た私よりも先に、「続行で」と隣に座っていた男性に答えられてしまった。


「はぁ? ちょっと待ってよ、今のは私がするべき返事でしょ」

「支払いは一括で」