私的には、そこまで笑われるようなことは言っていないつもりなんだけどな。
 まぁ、いいかぁ。副社長が私に対して気を許してくれているみたいで嬉しいし。


「報告書と資料には目を通した。撮影の日程等に関しては向こうの事務所ともよく話が練れたみたいだな。ドラマ撮影に影響する事無く、うちの仕事が上手くスケジュールに組み込まれているし。オフ日も確保できて、そこまでハードスケージュールにはならなそうだな」

「はい、西田さんのマネージャーさんが敏腕で助かりました」


 こちらの都合を強引に押し通す事無く予定変更できる仕事は率先して移動してくれたりと、無理なくうちの仕事を組み込んでくれたのだ。


「彼女のことはリュウも一目置いているからな」


 あれ? もしかして副社長って……。


 副社長の目にもマネージャーさんの仕事ぶりは、かなり良く映っているみたいだけれど。彼女の姿を想い出しているであろう副社長の顔が、実に優しい表情を浮かべているように見えて。
 何故かちょっとだけ、胸が苦しくなった。

 それは私が副社長に想いを寄せているからではなく。むしろ同じ顔をした西田さんも「きっと同じ表情を浮かべるのだろうな」と思ってしまったから。
 キュッと胸が痛んでしまっただけなのだ。