「檜山くん、どうしたの?」




 背後から檜山くんを覗き込むように声をかけると、視線を落とした檜山くんと目が合った。


 キラキラと水分量の多い瞳に綺麗な二重、鼻筋の通った顔立ち。手足が長く制服がよく似合っている長身に、男らしくて優しい性格。女子たちからの人気を独り占めしている理由がよく分かる。



 教師であるわたしでさえ、年甲斐もなく檜山くんに惹かれてしまうくらい魅力的なのだから。




「……隆弘って呼べよ」


「なんで? 檜山くんは、檜山くんでしょ」


「さっき言ったこと本気。俺、からかってねぇよ。先生のこと女性として見てるけど、ダメ?」




 檜山くんの真っ直ぐな視線と嘘のない言葉が、わたしの心を揺さぶってグラつかせる。




「だ、ダメに決まってるでしょ。今の檜山くんとわたしは、生徒と教……しっ」




 全て言い終える前に、わたしは檜山くんに抱き寄せられていた。