初恋グラフィティ


昼休みに職員室へ行くと、


私はかげちんからついてこいと言われ、小さな個室に連れて行かれた。




部屋の入り口には〔相談室〕と書かれた札が掲げてある。




中に入るとテーブルを挟んで長いソファがふたつ置いてあって、私はそこにかげちんと向かい合うようにして座った。






若いのに意外と頭の固いかげちんは、私をじろっとにらみつけると単刀直入に言った。




「星野、お前実力テストの学年順位が前回より100番以上落ちてるじゃないか…。どうしたんだ…?急に…」


「あ…、えっと…」




痛いところをつかれてしまった。




けど、


私は嘘やごまかしがうまい人間ではないので本当のことを言うしかなかった。




「別に…、ただ何となく勉強する気がしなかっただけです…」




するとかげちんが首をかしげた。




「本当にそれだけか…?」


「本当に、それだけです…」




かげちんは納得できないというような顔をしていたけど、しばらくすると大きな咳払いをして



「とりあえず、この件についてはご両親にも電話で報告させてもらうから」といったん場を閉じた。