初恋グラフィティ


それから私達はキーコの家で借りてきたDVDを見た。


けれどみぽりんのことが気になっていた私は映画のストーリーに集中することができず、


ブラウン管の中で展開されるハッピーエンドの物語を私の心は受け付けようとしなかった。






帰宅したときにはすっかり日が暮れていた。



ユキちゃんの家の前を通る瞬間、2階の窓を見上げてみたけど、ユキちゃんの部屋に明かりはついていなかった。



ガレージに彼の車もない。


引っ越しが無事済んだのだろう。




そう思うとほっとしたようなさみしいような、おかしな気分だった。






ユキちゃんにはずっと側にいてほしかったのに、


これからも連絡を取り合ったりしたかったのに、


きのうのようなことがあった今では、もう彼に合わせる顔がない。




偶然どこかで会うことがあっても、もう前みたいに話すことはできないんだろうな…。