初恋グラフィティ


「何…?」


「……」




私が口をつぐむと、ユキちゃんは大きくため息をついた。




「何だ…、何もないんじゃん…」


「え…」




ユキちゃんが私の肩に手を置いた。




「志保、理由もないのに人のこと悪く言っちゃダメだろ…?」




ユキちゃんはすっと立ち上がって言った。




「俺下でお茶いれてくるから、それまでに少し心落ち着けてろよ」




ユキちゃんはバタンとドアを閉めると、トントントンと階段を下りて行った。