買い物が済むと私はいったん家に戻って、
ハムスターの赤ちゃんを1匹、おがくずとエサと一緒にお菓子の空箱に入れて、ユキちゃんの家に行った。
2階にある彼の部屋に入ると、壁際にダンボール箱が積み重ねてあって、既に引っ越しの準備が整えられているようだった。
私は買ってきたケージにハムスターの赤ちゃんを放すと、ユキちゃんにハムスターの習性や世話の仕方を簡単に説明した。
できるだけ長く一緒にいたくて、わざとゆっくり話をした。
ひととおり説明が済むと、ユキちゃんは言った。
「やー、いろいろありがとな…。それじゃこの子はうちで大事に預からせてもらうよ」
そんなことを言われ、
今度こそユキちゃんに会えなくなるんだと思った私はつい図々しいことを口走っていた。
「あ…、もし飼い方でわからないこととかあったら、連絡してもらえるといいかも…」
「え?」
「ほら、間違ってハムスター死なせちゃってもかわいそうでしょ…?それで何かあったら私に聞いてもらえたらなって思ったんだけど…」

