初恋グラフィティ


「何か柏田の方がみぽりんにアタックかけてたって話だよ」


「えー?何かイメージ狂わない?」


「だよねー。想像できないしー!」




先輩達が盛り上がり、私達1年生がどうしたらいいかわからず突っ立っていると、


ガラッと戸が開いて、みぽりんが現われた。




「ねえ、そろそろ合わせるから音楽室に戻ってくれない?」




するとパート内で1番口の悪い先輩がにやにやしながら言った。




「先生」


「ん?」


「きのう柏田先生とデートしてたって本当ですか?」


「は…?そんな話、誰から聞いたの…?」




みぽりんは顔色ひとつ変えず、いつもの調子で言い返した。




「だって、すっごいウワサになってますよ」


「あら、柏田先生とはたまたま帰りが一緒になって、帰る方向が同じだったから一緒に帰っただけよ」


「えー、ホントにそれだけですかー?」


「何よ、やけにつっかかるわね…。ホントにそれだけよ」


「先生、正直に言ってくれていいですよ。私達、内緒にしておきますから」




言いたい放題の先輩達に、




「もう、勝手に言ってなさい…。私先に行ってるから、あんた達も早く来てね」




みぽりんはそう言うと、すたすたと部屋を出て行った。