「ほら、あんたも3年生と一緒に挨拶していきなさい」
みぽりんにそう言われ、私は3年生がひとことずつ挨拶した後で、みんなにお礼とお別れを言うことになった。
「えっと…、このたび個人的な事情から急遽学校をやめることになりました…。みなさんには1年間お世話になりました…。みなさんと一緒に歌えたこと、きっとずっと忘れません…。今日の演奏会もいい思い出になりました…。本当に、本当にありがとうございました…」
そんなふうに挨拶するとみんなから拍手があって、
キーコや先輩、同じパートの仲間達が、抱きしめたり握手をしたりしてくれた。
今日はユキちゃんのことで涙もろくなっていたのもあるかもしれないけど、
みんなのやさしさに触れて、私はとうとう泣き出してしまっていた。
それは合唱部の仲間に会えただけでも、1年間の高校生活も無駄じゃなかったと改めて思う瞬間だった。

