初恋グラフィティ


「ごめんね…。ありがと…」




泣きそうになってうつむくと、


花束を包んでいるセロハン紙に、桜色の小さな封筒が金色のシールで貼り付けてあるのが見えた。




「え…」




私はそれを剥ぎ取り、その封を開けてみた。




するとそこには封筒と同色のカードが入っていて、小さな文字でメッセージらしきものがぎっしりと書かれていた。




「何…?これ…」




私がそれを読もうとすると、ユキちゃんがあわてたように言った。




「ああ…、それ、花屋のおばさんが何かメッセージでも書くかって言うから書いてみたんだけど…、まあ、単なる落書きみたいなもんだよ…。あんまり気にしないで」


「え…?」




ユキちゃんの顔を見上げると、




「じゃあ、俺そろそろ行くな」




彼はそう言って、いそいそと出口の方へ歩いて行った。