初恋グラフィティ


2月の終わり。


恭平さんがアパートを引き払うのに合わせて、私も彼の実家へ引っ越すことにした。




引っ越しの話は両親とかげちん以外誰にも言わなかった。



…というか、言えなかった。



ユキちゃんには、特に…。




でも、


毎朝彼に送ってもらっている以上、これからは送ってくれなくていいからと断っておく必要があった。






引っ越しを翌日に控えた金曜日の朝。




ユキちゃんに学校まで送ってもらった私は、車を降りる直前に覚悟を決めて言った。




「ごめんね…。急なんだけど、来週からはもう送ってくれなくていいから…」


「え…?」




私の申し出に、ユキちゃんの動きが止まった。