初恋グラフィティ


それから私達は特に何か話すわけでもなく、


中陰壇に飾られたお母さんの遺影を見ながら、しばらくふたりでぼーっとしていた。




部屋の中にとてつもなく重い空気が流れているのがわかった。




振り子時計の音だけがカチカチと響いて、


ほんの数分しか経っていないはずなのに、私にはもう何時間も経っているような気がしてならなかった。






「じゃあ私、今日はこれで失礼するね…」




沈黙に耐え切れなくなり席を立つと、




「あ…、ちょっと待って…」




恭平さんが口を開いた。




「志保ちゃんさ、ここで一緒に暮らさない…?」


「え…?」