こうして私の初体験があっけなく終わると、
恭平さんはゆっくり私から離れ、再びタバコに火をつけた。
屈辱的な思いのまま身支度を整えた私。
制服についていた髪を両手で払うと、すかさず彼にたずねていた。
「あの…、約束どおりユキちゃんのこと、ちゃんと教えてもらえるんですよね…?」
すると恭平さんは笑って答えた。
「もちろんだよ…。1回につき一情報だけどね」
「え…?」
“1回につき、一情報”?
あんなに我慢して恭平さんの言うとおりにしたっていうのに、
ユキちゃんのこと、たったひとつしか教えてもらえないっていうの…?!
「あの…、ちょっと話が違いませんか…?私はユキちゃんのこと、いろいろ教えてもらえると思ったから我慢したのに…」
私はすぐに抗議したけど、
恭平さんはノーコメントでさっき投げた私の携帯電話を拾っていた。
そしてふたつ折りのそれを開くと、待受画面を見てふーんと鼻で笑った。

