帰宅後。


自分の部屋に入ったとたん、


恭平さんのお母さんとのわずかな思い出が次々と浮かんできて、私は言いようのない悲しみに襲われた。




涙がどんどんあふれてきて、何もする気になれない。




私は着替えることもお風呂に入ることもせず、ただベッドの上に横になった。






…私達が早く結婚式を挙げることができていれば、


恭平さんのお母さんに私の花嫁姿を見せてあげることができたのに。



そう思うと、今にも胸が張り裂けそうだった。






…泣いて泣いて泣きまくって、息ができなくなりそうになったとき。




ふと私の心に現れたのは、なぜかユキちゃんの笑顔だった。






私はとっさに携帯電話をつかむと、すぐさまユキちゃんに電話をかけていた。



もう夜の10時を過ぎている。




こんな時間に電話されても迷惑だろうと思ったけど、


そうでもしないと心がもう壊れてしまいそうだった。