ヤカンがシュンシュン言う音を聞きながら、私は胸に突き上げてくる何かに押しつぶされそうになった。




…別に恭平さんを好きになったわけじゃない。




だけど彼と彼のお母さんのことを想うと胸が苦しくて、もうどうしようもなかった。




そして


この苦しみから逃れるために自分ができることはひとつしかないと悟った私は、


思わず彼に声をかけていた。






「あの…、お願いがあるんですけど…」


「え…、何…?」




恭平さんがこちらを振り向いた。






苦しみぬいた末、私の口が発したのは、




「あの…、私を、ここに置いてくれませんか…?」




そんな言葉で…。