初恋グラフィティ


部屋に暖房を入れると、恭平さんは奥から毛布を持ってきてくれた。




「ほら、これにくるまってな」


「すみません…」




毛布をかぶった私に、恭平さんが聞いてきた。




「それにしてもどうしたの…?またうちに来るなんて…」


「ごめんなさい…。やっぱり迷惑でしたよね…」


「いや、迷惑ってわけじゃないんだけど、志保ちゃんが会いに来てくれるなんて、何かあったのかなって思ったからさ…」


「……」




いろんな思いが込み上げてきて泣きそうになった。




私が目を潤ませると、恭平さんが私の肩に手をかけた。




「やっぱり何かあったの…?」




心の中をうまく伝えることができないと思った私は、




「いえ…、あの…、今日母とケンカしちゃって、そのまま家を出てきたから何となく帰りづらくて…」




とりあえずそう答えた。




「何だ…。それなら幸男のところに行けばいいのに…」




恭平さんは私に触れていた手をすっと引っ込めた。