初恋グラフィティ


タクシーを降りた後。


恭平さんの部屋をたずねると、残念ながら彼はまだ帰ってきていなかった。




仕方なく私はドアの前に座り込み、そこで恭平さんの帰りを待った。






…どれくらい経っただろう。



私はいつの間にか眠っていて、帰ってきた恭平さんに起こされた。




「志保ちゃん…?どうしたの…?」




その声で目を覚ました私。



彼にお帰りなさいを言った瞬間、クシュンとくしゃみが出た。




「何…、もしかして俺のことずっと待ってたの…?」




恭平さんが私の顔を覗き込んだ。




「ん…」


「こんな寒いのに…?」




私は首を縦に振った。




「何だよ…、妊娠してるのに大事にしなきゃいけないだろ…?ほら、早く入って…!」




恭平さんは私の左腕をかつぐと、部屋のカギとドアを開け、私を連れて中に入った。