外はもう暗くなっていたけど、やっぱり家には帰りづらくて、
私は商店街にある本屋にひょいっと立ち寄った。
…といっても、
雑誌を立ち読みしていたらポケットに入れてあった携帯電話がうるさく鳴ったので、
また急いで外に出ることになったんだけど。
「もしもし…?」
店の外で携帯の通話ボタンを押すと、
〈志保…?〉
聞こえてきたのは母の声だった。
〈今どこにいるの…?あんたが出て行ってから、影山先生も心配されてたのよ…〉
「あ…、ごめん…」
一応謝ると、電話機の向こうで母がため息をつくのが聞こえた。
〈妊娠してしまったことは取り返しがつかないから、そんなに気に病んでもしょうがないわ…。今夜お父さんにも相談してみましょう…?〉
「え…?」
〈あんたユキちゃんに連絡して、彼にも仕事が終わったらうちに来てもらいなさい〉
「えっ…」

