「だからあなたが恭平と一緒にならないとなると、親としてはやっぱりあの子がかわいそうだなって思うのが正直なところなんだけど…」
「あっ…、ご…、ごめんなさい…」
私は再度頭を下げた。
「いいのよ…。だって仕方のないことだもんね…。赤ちゃんを産む産まないは、あなたの好きなようにすればいいわ」
「え…?」
ゆっくり頭を上げると、恭平さんのお母さんは私の方をじっと見ていた。
「だってあなたの人生は、他の誰のものでもない…、志保ちゃん…、あなたのものなんだもの…」
「え…」
「やっぱり、自分が思う道を進んでほしいと思うわ」
「お母…さん…?」
「だってあなたには未来があるのよ…?この先長い人生を、一時の気の迷いで棒に振ったらもったいないじゃない」
「そんな…」
私は言葉に詰まった。
お母さんの話は嬉しいようなさみしいような、何とも受け取り難いものだった。

