「私ね、若い頃美容師をしてたんだけど、恭平は小さいときから大きくなったらお母さんと同じ仕事に就いて、お母さんのことを手伝うんだって、口癖のように言ってくれてたのよ」 「あ…、それで恭平さん、美容師になられたんですか…?」 「そうね」 お母さんの顔からやさしそうな笑みがこぼれた。 「あの子が国家試験に受かったときは本当に嬉しかったわ…。こんな孝行息子を持って、自分は何て幸せなんだろうって思ったくらい…」 「そうですか…」 恭平さんがお母さんを想う気持ちは、もう嫌というほど伝わっていた。