初恋グラフィティ


「いやあね、息子の話しぶりからどうもあやしいなとは思ってたのよ」




恭平さんのお母さんはコーヒーに口をつけた。




「志保ちゃんが私達に話を合わせてくれてるんだってことも、何となく見抜いてたわ」


「えっ…」


「だって志保ちゃん、演技が下手なんだもの…。あなたの気持ちが恭平にないことくらい、見てたらすぐにわかるわよ」


「そうですか…」




何だ…。


やっぱり私、嘘がつけないんだなぁ…。






肩を落とした私に、今度は恭平さんのお母さんが謝ってきた。




「けどごめんなさいね、赤ちゃんのこと…」


「え…?」


「他に好きな人がいるんじゃ、恭平の子なんて産めないわよね…。まして志保ちゃんはまだ高校生なんだし…」


「……」




何て返せばいいかわからずにいると、お母さんがケーキにフォークを入れながら言った。




「でもね、志保ちゃん…。恭平は…、あの子はホントにあなたのことが好きなのよ」


「え…?」