初恋グラフィティ


「すみません…」




ボタンをしめながらお礼を述べると、恭平さんのお母さんが言った。




「ねえ、私ちょっと商店街まで買い物に行こうと思ってたの…。よかったら志保ちゃんも一緒に行かない…?」


「え…?」

「どうせ学校は冬休みなんでしょ…?買い物が終わったら一緒にお茶でもしてさ…」


「……」




…こういうときって、どうしたらいいんだろう。




恭平さんの赤ちゃんを妊娠している私にとって、彼女が他人じゃないのは確かだけど、


私、お母さんにそんなふうに言ってもらえるような女じゃないんだよ…?




もしかすると、お母さんの期待に応えられないかもしれないんだから…。






けど、


恭平さんのお母さんは私の手を取り笑った。




「ね…、いいでしょ…?」





どうしてこの人は、こういつも私の心に簡単に入ってくるんだろう…。




結局私はその誘いを断ることができず、買い物とお茶に付き合うことになった。