母はしばらくうつむいていたけど、やがてこっちを見ながら言った。




「私の方でも、これという理由は特に思い当たらないんですけど…」


「そうですか…」




かげちんはため息をついて、今度は私の方を見た。




「星野、お前ホントに何もないのか…?」


「え…?」


「いや…、是枝先生も心配されてるみたいで、やたらとお前のことを聞いてくるんだよ…」




みぽりんが…?




「それでこれは何かあるなと思ってたんだけど…、お前、ホントは悩みや心配事があって、学業に集中できないんじゃないのか…?」


「えっ…」


「何かあれば相談にのるから、正直に話してくれていいぞ…?」


「……」




やっぱりかげちんの目は節穴じゃなかった。




…けど、


いきなりそんなこと言われても、何も言えないのが正直なところだ。




かげちんは男だし、私みたいな女の気持ちなんて、


絶対理解してくれないにきまってるもん…。






私が何も答えずにいると、3人の間にきつい沈黙が流れた。





…と、そのとき。