泣きそうになった私に、ユキちゃんが言った。 「これからあの人、志保のお母さんになるんだろ…?大事にしてあげてな」 「え…?」 「頼んだよ」 ユキちゃんはかすかに微笑むと、車に乗って闇の中へと消えていった。 「ユキちゃん…」 遠ざかっていくテールランプを見ながら、私はそこからしばらく動けなかった。 ユキちゃんの気持ちが胸に痛くて、どうしていいかわからなかった。