夕食後。 恭平さんが洗い物をすると言って奥に入って行ったので、 彼と話をする間もなく私は恭平さんのお母さんの相手をさせられた。 「ごめん、志保ちゃん…。ちょっとこっちの部屋へ来てくれる…?」 お母さんさんにそう言われ、隣の仏間へ移動した私。 …そこで見たのは、 黒地に鶴や花の模様があしらわれている古い着物だった。 「これって…」 「黒引きって言うんだけどね、私がお嫁に来るときに着た花嫁衣裳なの」 恭平さんのお母さんが目を細めた。