乾杯後。
何となく箸を進めるのをためらっていた私に、恭平さんのお母さんが言った。
「恭平もこんなかわいいお嫁さんをもらえるなんて、ホント幸せもんよね」
「え…?」
その言葉に私が固まると、恭平さんが「ちょっと母さん…!」と口を挟んだ。
けれどお母さんは息子の声を気にも留めずに話し続ける。
「恭平から高校生の彼女との間に子どもができたって聞いたときにはどうしようかと思ったけど、志保ちゃん、いい子そうで安心したわ」
「はあ…」
私は何と答えていいかわからず、とりあえず作り笑いで頭を下げた。
…もしかしてお母さん、私と恭平さんが結婚するって思ってるのかな?
それはまだ決まったわけじゃないけど、そう思われても仕方ない気はした。
私が彼女の孫を妊娠してるのは、紛れもない事実だし…。

