初恋グラフィティ


客間に通されると、


大きなテーブルの上に既製品らしいごちそうがたくさん置かれていた。




恭平さんは私を上座に座らせると、




「ちょっと待っててね。今ジュースを持ってくるから」




そう言って奥の方へ入って行った。






恭平さんのお母さんとふたりきりになり緊張していると、私のななめ前に座ったお母さんが言った。




「つわりはもう大丈夫なの?」


「あ…、いえ…、あんまり大丈夫じゃないんですけど…」




私が正直に答えると、お母さんはあらと笑った。




「それは残念ね…。今日はアイスクリームのケーキを用意してあるんだけど、つわりがひどいんなら志保ちゃんはケーキ食べられないかしら…?」


「えっ…」




甘党で、ゲンキンな私。



つわりの最中でも、ケーキだけは食べられるような気がした。