初恋グラフィティ


恭平さんの実家は、私が通っていた小学校の通学区内にあった。


(ユキちゃんの昔からの友達だからあたり前だけど。)



2階建ての古い家で、


中に一歩入ると、あったかい空気とともにきのう写真で見ていた女性が玄関で出迎えてくれた。




「あらー、あなたが志保ちゃん…?」


「あっ、はい…」


「まー、かわいらしいお嬢さんねえ」




彼女は写真で見ていたのと比べて、全体的にほっそりした印象だった。




「志保ちゃん、これがうちの母」




先に靴を脱いだ恭平さんが彼女を紹介してくれた。



とりあえずこちらも自己紹介する。




「あ…、はじめまして…。星野志保と申します…」




何となくかしこまってしまった。




「そんな挨拶なんていいから早く上がって」




恭平さんのお母さんは何だか楽しそうだった。




「そうだよ。汚い家で悪いけど上がって上がって」




心なしか恭平さんの声も明るく聞こえた。