初恋グラフィティ


私の心に、再び恭平さんが浮かび上がった。




「先生…、すみませんけど手術のこと、やっぱり少し考えさせてもらえませんか…?」




私はすかさず立ち上がり、持っていたカップをみぽりんに返すと、




「ちょっ…、志保…?!」



私を呼び止めるふたりをよそに、急いで準備室を飛び出していた。






靴を履き替え学校を出ると、私はバスに乗って恭平さんが勤める美容院へ向かった。




恭平さんと彼のお母さんのことが気になって、赤ちゃんを堕ろすことを迷い始めていた私…。




もう一度恭平さんに会って、彼と話をしてみたい気分だった。