初恋グラフィティ


私が言葉を飲み込むと、みぽりんは更に問い詰めてきた。




「赤ちゃん、やっぱり堕ろすんでしょ…?」


「え…?」


「あのね、中絶手術って妊娠21週までなら可能だけど、12週を過ぎると薬で流産させることになるから、費用も負担も余計にかかるわけ…。だから堕ろすんなら早い方がいいのよ…?」


「…それは私もわかってるんですけど」




恭平さんに同情し始めた私の心は、赤ちゃんを産む産まないについても迷い始めていた。




「何…、もしかして堕ろしたくなくなったとか言うわけ…?」




みぽりんが変な顔をした。




「…っていうか、やっぱり恭平さんちのことが気になるっていうか、何とかしてあげたいって思うというか…」




私が正直に言うと、みぽりんがCDを止めて言った。




「志保さ…、あんたもしかして、あいつに同情してるの…?」


「えっ…」




心を読まれてドキドキしていると、みぽりんは再びため息をついた。




「志保がやさしい人間だってことはよくわかるけど、あいつと一緒になって子どもを産んで育てていくとか、そういう大変なことが同情だけでやっていけると思ってるわけ…?」