ハラハラしながらふたりのことを見守っていると、
「責任はちゃんと取るよ」
恭平さんがユキちゃんにそう言った。
「え…?」
ユキちゃんが恭平さんから手を離すと、
すかさず恭平さんはユキちゃんの下から逃げ出し、こぼれたビールの後始末をしながら言った。
「俺、こないだ志保ちゃんにプロポーズしたんだ…。俺の子どもを産んでくれって…」
「何だって…?」
ユキちゃんがこっちを向いた。
「志保…、それ、ホントなの…?」
「ん…」
私は一応うなずいた。
「まだ返事はしてないけど…」
私の言葉に、ユキちゃんはあからさまに嫌そうな顔をした。
「何だよ…、じゃあ俺だけ蚊帳の外だったってわけか」
ユキちゃんはすぐにコートをつかむと、玄関の方を向き直り、そのまま部屋を立ち去ろうとした。
…けど、
その瞬間彼の体がぶつかったのか、ユキちゃんの脇にあった棚の上から飾ってあった写真立てが落ちた。
それはガラス製のものだったらしく、床に落ちると同時にガシャンと鋭い音を立てて壊れた。

