初恋グラフィティ


恭平さんは一瞬目を見開いたけど、すぐに笑って缶ビールのタブを開けた。




「何だ…、何かと思ったらその話か」


「その話かって…」


「こないだ実穂にも同じこと言われたんだよ…。志保ちゃんをはらませた責任取って、中絶費用出せってさ…」




恭平さんはビールを飲みながら言った。




「お前、何でそんなことしたんだよ…?!志保はまだ高校生なんだぞ…?条例違反になるって…!」




ユキちゃんはすぐさま立ち上がると、恭平さんに馬乗りになり手を上げた。



はずみで恭平さんの手からビールがドポドポとこぼれた。




「…んなこと言われても、あれは俺と志保ちゃんの間で交わした取引だったんだから、そのへんは志保ちゃんだって合意してたんじゃねーの…?」


「だからって、やっていいことと悪いことの区別くらいつくだろ…?!」


「そう言うお前だって志保ちゃんに手ぇ出してんだろ…?お前だって同罪じゃねーのか…?」




恭平さんが開き直ると、




「何だと…?!」




ユキちゃんは再び彼につかみかかった。




「志保を傷ものにしやがって…!この責任、どう取ってくれんだよ…?!」




こんなに怒ってるユキちゃんを見るのは初めてだった。