翌日。
期末テストまで1週間を切っていたので、部活は活動停止中だった。
学校が終わると私はいったん家に戻り、着替えて保険証をバッグに入れて、
母の目を盗んで彼女の財布からお札を数枚拝借した。
そして再び外に出ると、バスに乗って近くの産婦人科医院まで足を運んだ。
バスを降りた後。
3階建ての立派な建物を目にすると、やっぱりちょっと緊張した。
ここは親子2代でやっている、この辺じゃ有名な産婦人科医院だ。
父親の方はかなりの名医で評判だけど、
近年息子の方も医者になって、今はふたりで診察やお産にあたっているとのこと。
私は携帯電話の電源を切ると、覚悟を決めてその入口へ向かった。

