ユキちゃんは私の背中に両腕を回すと、さっき私がしたのと同じように私のことを包んでくれた。
「えっ…、ユキちゃん…?」
驚いた。
私はユキちゃんの鼓動がよく聞こえる場所にいた。
「俺さ…、今まで何人かの人と付き合ってきたんだけど、なぜかみんな、付き合って少しすると必ず俺から離れていっちゃうんだよね…。実穂もそうだったんだけどさ…」
「え…?」
それは初めて聞くユキちゃんの心の傷だった。
「だから女の人と付き合うことがトラウマみたくなってたんだけど…、俺…、志保のこと信じていいのかな…?」
私はドキドキしながらユキちゃんを見上げた。
「もちろんだよ…!」
するとユキちゃんはふっと表情をゆるませて、
その顔をゆっくり私に近づけた。

