初恋グラフィティ


「確かに私じゃ役不足かもしれない…。けど、ユキちゃんを想う気持ちは誰にも負けてないと思う…。だから…」




私が彼に近づくと、ユキちゃんは少し顔を上げた。




「わかってる…。志保の気持ちはよくわかってるよ…」


「うそ…。わかってないよ…。全然わかってないっ…!」


「そんなことないって…」


「そんなことあるっ…!」




どこまでも突き放そうとするユキちゃんに、私はもう泣きたくなっていた。




…そしてその瞬間、


言葉で通じないんなら行動で示すしかないと脳が判断したのか、


私は目の前のユキちゃんを思わずぎゅっと抱きしめていた。




「えっ…、志保…?」




ユキちゃんが驚いたように私を見下ろした。




「私じゃやっぱりダメ…?」




私はユキちゃんの顔を見つめた。




「私がユキちゃんの側にいたらダメ…?」




ユキちゃんは無言のまま私を見ていた。




「私がユキちゃんの悲しみも苦しみも、全部一緒に背負うから…」


「……」


「ね…?」


「志保…」