雨はすっかり止んで、曇り空が見える。今日は小児科にあるプレイルームに来てる。
今から遊ぶんだ。楽しみ。
「あの…一緒に遊ぼう?」
「え、ごめん!ちょっと無理!」
「あ、うん。分かった」
断られた。でも大丈夫。もう慣れたから。
「あの子おかしくない!?」
「声大きいよっ!けど変なのは分かる」
「めっちゃチビじゃん!変なのー」

慣れたはずなのに、きつくなってきた。でも、泣いたらますます嫌われちゃうかもしれない…必死に辛い気持ちを抑えてたけど、気づけば涙が溢れてた。

“川見先生…恋子先生……助けて”

次の瞬間、後ろから抱きしめられた。1つ結びした髪が私の肩に当たって、恋子先生だって振り返らなくても分かった。
「ごめんね。きつかったね…」
「れ…恋子せっ…ゲホゲホ…」
「うん…私がいるから…川見先生も来るって言ってたよ」
そう言って恋子先生は薬を飲ませてくれた。昔と変わらないな…
「理杏!大丈夫?」
「大丈夫だよ。川見先生…」
川見先生は全速力で来たみたいだった。また2人に迷惑かけてしまった……
こうやっていつも、私なんかを守ってくれる2人が大好きだけど、すごく申し訳なくなる。
「大丈夫だよ。理杏。そんな申し訳なさそうな顔しなくて」
「そうよ。理杏は頑張り屋さんだね」
「ありがとう。川見先生、恋子先生」
川見先生と恋子先生が手を繋いで部屋まで連れていってくれた。2人の手が温かくて何だかまた涙が溢れたけど、この涙は嬉し泣きかなって思う。