雨が段々と落ち着いてきて、霧雨になった。私は、精神科に入院してる理杏のところに来た。理杏は寝てて、すーっと寝息が聴こえる。

「起きて、理杏」
「う…ん…恋子先生?」
「診察に来たよー」
「…うん。分かった」
「よし、偉い」

こんな感じで診察はした。次は心筋症の話をしないと。
「実はね、理杏。検査の結果が出たんだけど、心臓の病気の1つ、心筋症って病気のことがわかったの」
「うん…」
理杏は少し驚いた後、私の肩に抱きついた。辛いよね…
「お薬は今のままで大丈夫だけど、激しい運動しちゃうと命に関わる場合があるからそれだけは禁止になるよ」
「分かった。気をつけるね」

理杏はきっとまだ何か言いたかったんだろうな。気を使って言えてないだけで、もっと辛いこと言いたいよね。
「何かあったらすぐ川見先生か、私に相談して。私たちは理杏の味方だから」
「うん。ありがとう」

うるさかった雨音が聴こえなくなって、冷たい雨が止んだことに気づいた。
理杏の部屋を出ると、部屋の中から一気に泣き声が聴こえた。理杏は抑えてたんだ、涙を。
中にまた入るか悩んだけど、私の役目ではない気がして入らなかった。ナースには、よく見てもらえるように頼もうかな…

“ごめんね、理杏。治療以外何も出来なくて…”