理杏は目を輝かせてお菓子を選んでいる。すごく可愛らしいな。
「このチョコにしようかな」
「いいね。買いに行こうか」

「ねえ、あの人変じゃない」
女性の声が耳に入ってきた。理杏は俯いてたけど、僕が心配したのに気づいたのか微笑んだ。ここで怒るわけにもいかないしな……

「大丈夫だよ。川見先生」
「大丈夫じゃない時に、大丈夫って言わなくていいから…」

コンビニを出たあと、目の前にある椅子に座った。理杏は美味しそうに、さっき買ったチョコを食べてる。僕は理杏を見ながら心を落ち着かせた。

「私、変なのかな……」
「そんなはずない…理杏は何も変じゃないよ」
「そうだよね。ありがとう、川見先生」
理杏は笑顔でいようとしている。だけどすごく辛そうで、僕は理杏の背中をさすった。
「帰ったら星の本、一緒に読みたいな」
「いいよ。読もうか!」

部屋に戻ると、理杏は僕が家から持ってきた星の本を広げた。部屋は雨音が響いてる。
本を読んでると理杏は眠くなったのか、僕に寄りかかって寝てた。起こさないように横にして、布団を被せる。
「おやすみなさい、理杏」

理杏の部屋を出ると、髙田先生が僕を呼んだ。少し深刻そうな顔をしてる。
「髙田先生、お疲れ様です」
「想くん。お疲れ様……少し話があるの。いい?」
「はい。大丈夫です」