記憶喪失の妻は一途な夫(外科医)に溺愛される

鉛筆で、見慣れたタッチが描かれている絵。

私が描いたその絵には『thank you』と私の字で書かれている。

「桐乃が描いてくれたんだ。空港で俺に渡してくれた。」
もう一度私の隣に座った紫苑は私の肩をもう一度抱き寄せる。

「俺のこと。」
私が描いていたのは紫苑の寝顔だった。
「この絵を見ながら、何度も何度ももう一度桐乃に会いたいって思ってた。」

自分で描いたものなのに、描いたときの記憶が戻らない。
私が自分の目をギュッと閉じながら思いだそうとしていると、紫苑が私の頭をそっと撫でた。

「大丈夫?」
心配そうに私の顔色を確認する。
「・・・うん」
頷くと彼は私の手から絵を預かり机に置いた。