記憶喪失の妻は一途な夫(外科医)に溺愛される

写真の中の自分を指でなぞると、いつの間にか紫苑が私の後ろに立っていて、私を後ろから抱きしめながら、写真をなぞる私の手に自分の手を重ねた。

「思い出せなくてもいいって思ってる。このままでも、俺はいっぱい努力して、もう一度桐乃に思ってもらえるように、愛するって決めてる。」
「・・・」
何度もそう言ってくれている紫苑。
彼との思い出は記憶になくても、彼の言葉は信じられる。

「でも。桐乃が思いだしたいと思ってくれていること、うれしいんだ。」
「・・・」
「俺にとって、桐乃との時間は今も、過去もすごく大切なんだ。生きてきた中で、この半年はどの時間よりも濃い時間だって思ってる。」
「・・・」
「桐乃。」
紫苑は私の体の向きを変えて、私の目を見つめる。
背の高い彼は私と視線を合わせるために少しかがんでくれる。