「俺は何人かのけが人と、桐乃と一緒に病院に戻った。桐乃の足を処置してから、俺は桐乃に俺が住んでるマンションに荷物が見つかるまで泊まらないかと提案した。翌日に警察の事情聴取もあったけど、桐乃は言葉がわからないし、同行することにもなってたんだ。」
夜になり、紫苑はラフな格好に着替えて私の病室で一緒にベッドに横になっていた。

朝、赤ちゃんが動いたのを感じられて、もう一度感じたいと、紫苑の手は私のお腹にあてられたままになっている。

私はどきどきしてしまう気持ちを抑えながら、紫苑の隣に横になっていた。

記憶がなくならなければ、二人の赤ちゃんが動くのを感じるのは幸せ極まりない時間だ。
その時間を奪ってしまうのは違う気がして、私は紫苑がお腹に触れることをとめなかった。

むしろ、彼がそばにいてくれると安心できる気がして、もう、嫌ではなかった。