記憶喪失の妻は一途な夫(外科医)に溺愛される

「大丈夫だな。本当に痛いところはない?」
「・・・大丈夫」
もう一度頷く私に、紫苑は安心したようにため息をついた。

「危ないから、何か用があったらナースコールしてほしい。」
私が再び横になったベッドに、腰かけて私を諭すように言う紫苑。
「・・・でも・・・」
「でも?」
「言葉、わからないから。」
小さな小さな声で言った私の言葉に、紫苑が少し黙る。

次の瞬間、紫苑は私の体を抱きしめた。
「ごめんな。そうだよな。ごめん。」

紫苑は私を叱らない。
どうして危ないことをしたんだと私を責めればいいのに。
なぜこんなにも優しいのだろうか。